オフィスの停電対策として、まず「発電機を用意すればいい」と考える方は少なくないのではないでしょうか。工事現場やイベント会場で稼働している姿を見慣れているぶん、非常用電源としても身近な選択肢に感じられるのかもしれません。しかし、実際にオフィスという室内空間で発電機を運用しようとすると、思わぬ壁にぶつかるケースが多いといわれています。排気ガスの問題、稼働音による周囲への影響、法令上の制約など、屋外での使用を前提に設計された機材だからこその課題が浮かび上がってくるようです。ビルの一室やテナントオフィスという環境では、工事現場のように離れた場所に設置して延長コードで電力を引き込むといった対応も難しく、発電機そのものの置き場所に悩む企業も少なくないようです。
この記事では、BCP(事業継続計画)担当者という立場から、発電機がオフィスの非常用電源として選ばれにくい理由を整理したうえで、失敗しないための非常用電源の選び方を考えていきます。すでに発電機の導入を検討されている企業にとっても、あらためて選定基準を見直すきっかけにしていただければと思います。私たちボルトワークスは、元自動車メーカーで培ったエンジンや電源まわりの知見をもとに、ポータブル電源専門店として法人のお客様からのご相談にも数多く携わってきました。そうした現場での経験もふまえながら、実務に近い視点でまとめていきます。

なぜ発電機はオフィスの非常用電源に向かないとされるのか
排気ガスによる一酸化炭素中毒のリスク
発電機はガソリンや軽油といった燃料を燃焼させて発電する仕組みのため、稼働中に一酸化炭素を含む排気ガスを発生させます。屋外の風通しの良い場所であれば問題になりにくいものの、窓を閉め切ったオフィスの室内でエンジンを稼働させてしまうと、換気が追いつかず一酸化炭素中毒のリスクが高まるとされています。停電時はエレベーターが止まり、換気のために窓を開けるという発想そのものに至らないことも多く、緊急時ほど危険な使い方をしてしまいやすいという指摘もあるようです。人命に関わる話であるだけに、発電機は屋内で使用しないことが前提の機材だと捉えておいたほうがよさそうです。玄関先や窓のそばであれば安全というわけでもなく、排気ガスが開口部から室内に流れ込んでしまう例も報告されているとされ、設置場所の判断そのものが難しいという声もあるようです。
稼働音がもたらす就業環境・近隣への影響
発電機はエンジン音や排気音が大きく、住宅密集地やオフィスビルが立ち並ぶエリアでは、稼働させるだけで周囲からの苦情につながる可能性があるといわれています。停電時は同じビル内の他のテナントや近隣の住民も不安を抱えている状況であるため、大きな稼働音がかえって新たなトラブルの火種になりかねません。停電中も電話対応や来客対応を続けなければならない場面では、話し声が聞き取りにくくなるほどの騒音が、業務そのものを妨げてしまうことも考えられます。
消防法・建築基準法など法令上の制約
発電機を動かすためにはガソリンや軽油といった危険物を一定量保管しておく必要がありますが、こうした危険物の屋内保管には消防法上の数量制限や届出が関係してくる場合があるとされています。オフィスが入る建物の管理規約で、発電機の持ち込みや燃料の保管そのものを制限しているケースもあるようです。法令や建物ごとのルールは地域や物件によって異なるため、発電機の導入を検討する際は、あらかじめ最寄りの消防署や物件の管理会社に確認しておくことをおすすめします。
燃料の備蓄・管理という運用負担
発電機を非常時にすぐ使える状態に保つには、燃料を定期的に入れ替えながら備蓄しておく必要があります。ガソリンは長期間の保管で劣化が進むとされており、いざという時にエンジンがかからなかったという事態も起こり得ます。大規模な災害の直後は、ガソリンスタンドの営業停止や品薄によって燃料の調達自体が難しくなる可能性も指摘されており、備蓄と管理の手間がBCP担当者にとって想定以上の負担になることも少なくないようです。

オフィスの非常用電源を選ぶときに押さえておきたい視点
必要な稼働時間と接続機器から逆算して容量を考える
非常用電源を選ぶ際は、まず「停電時に何を、どれくらいの時間動かしたいのか」を洗い出すことが出発点になります。パソコンやモニターだけを動かすのか、サーバーやネットワーク機器、最低限の照明まで含めるのかによって、必要な電力量は大きく変わってくるようです。オフィス向けの非常用電源として検討されることが多いポータブル電源は、容量や出力が製品ごとに幅広く用意されているとされているため、自社が守りたい機器の消費電力を洗い出したうえで、余裕を持った容量帯の製品を選ぶという考え方が現実的だといえそうです。とくにサーバーやルーターなど、止めてしまうと業務システム全体に影響が及ぶ機器については、優先的にバックアップする対象として切り分けておくと、限られた電力を有効に配分しやすくなると考えられます。
室内設置のしやすさと静音性という視点
発電機と異なり、リチウムイオン電池を用いたポータブル電源は燃焼を伴わないため排気ガスが発生せず、稼働音も比較的静かだとされています。オフィスの室内やデスクの近くに置いたまま稼働させやすいという点は、発電機にはない大きな利点だといえそうです。停電中も普段とあまり変わらない環境で業務を継続しやすくなる、という観点は、法人がポータブル電源を選ぶ理由のひとつになっているようです。
停電復旧までのタイムラグを想定した運用体制
停電の多くは数分から数時間で復旧するとされていますが、大規模な災害時には復旧までに数日を要するケースも想定しておく必要があります。バッテリー容量には限りがあるため、ソーラーパネルとの連携や、複数台を組み合わせて容量を拡張できる製品を選んでおくと、停電が長期化した際にも電力を確保しやすくなると考えられます。どこまでの停電期間を想定してBCP計画を組むかによって、選ぶべき電源の構成も変わってくるため、自社の事業内容やリスクの大きさに応じて検討する必要がありそうです。
BCP計画全体の中での電源の位置づけを整理する
非常用電源はBCP対策の一部であって、それだけを導入すれば防災対策が完結するわけではありません。避難経路の確保や安否確認の体制、データのバックアップ体制など、電源以外の備えと組み合わせて初めて機能するものだと考えられます。電源を選定する段階から、誰が管理し、どのタイミングで使用を判断するのかといった運用ルールもあわせて検討しておくことで、BCP計画全体の実効性が高まっていくのではないでしょうか。

導入後に後悔しないためのチェックポイント
定期的な点検・充電管理を仕組み化する
非常用電源は、導入して終わりではなく、日頃からの点検が欠かせません。満充電のまま放置していると自然放電によって残量が目減りしていくとされているため、月に一度など決まったタイミングで残量を確認し、必要であれば充電し直す運用をルール化しておくことが望ましいといえます。担当者任せにせず点検記録を残す仕組みを整えておくと、担当者が異動した場合にも運用が途切れにくくなります。
拡張性を見据えて将来の増設を考えておく
事業の拡大や拠点の増加にあわせて、非常用電源にも将来的な増設が必要になる場面が出てくるかもしれません。あとからバッテリーを追加できる拡張型の製品を選んでおけば、必要になったタイミングで容量を積み増していくという柔軟な対応がしやすくなるとされています。導入の段階で、将来的にどこまで規模を広げる可能性があるかをあわせて検討しておくと、無駄のない投資につながりやすいようです。
専門店のサポート体制を選定基準に加える
非常用電源は日常的に使用する機会が少ない機材だからこそ、いざという時に相談できる窓口があるかどうかが安心材料になります。保証内容や故障時の対応、設置や運用に関する相談ができる体制が整っているかは、価格や性能と同じくらい重要な選定基準だといえそうです。購入前の段階で、自社の使い方に合わせた提案や、導入後のサポートを受けられるかどうかを確認しておくことをおすすめします。

ここまで、発電機がオフィスの非常用電源として選ばれにくい理由と、失敗しないための非常用電源の選び方を整理してきました。排気ガスや稼働音、法令上の制約といった発電機特有の課題を踏まえると、室内でも扱いやすいポータブル電源を軸にBCP対策を検討する企業が増えてきているのも自然な流れなのかもしれません。容量や設置のしやすさだけでなく、点検の仕組みや拡張性、購入後のサポート体制まで含めて検討することで、いざという時に「使えない」という事態を避けやすくなると考えられます。すでに発電機を保有している企業であっても、屋内用の補助電源としてポータブル電源を組み合わせておくことで、用途に応じて使い分けられる体制を整えやすくなるとも考えられます。私たちボルトワークスは、元自動車メーカーとしての知見を生かし、法人のお客様の非常用電源選びやBCP計画のご相談に対応しています。オフィスの停電対策を見直したいとお考えの担当者の方は、ぜひ一度お気軽にお声がけください。

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