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法人向け非常用電源はブランド一択でいいのか、複数ブランド比較という調達の視点

BCP対策として非常用電源の導入を進める企業のなかには、「最初に検討したブランドで、そのまま決めてしまう」というケースが少なくないようです。ネット上での知名度が高く、レビュー記事や比較サイトでも頻繁に取り上げられるブランドがあると、担当者としては安心材料になりやすく、他社をあらためて比較する手間を省きたくなる気持ちも理解できます。しかし調達を1社に集中させることは、BCPという「もしもの備え」の性質と、必ずしも相性がよいとは限りません。今回はボルトワークスが公開した「ポータブル電源市場は特定ブランド一択の時代を終えつつあるのではないか」というテーマの動画を題材に、法人の非常用電源選びにおいて複数ブランドを比較する視点がなぜ必要なのかを整理してみたいと思います。

なぜ法人の電源選定は「知っているブランド」に偏りやすいのか

非常用電源の選定を任された担当者が、まず検討の起点として特定のブランドに寄っていくこと自体は、決して不自然なことではありません。まずはその背景から見ていきます。

前例踏襲が生む一択化

過去に自社や取引先が導入した実績があるブランドは、社内稟議を通す際にも説明がしやすく、担当者にとって心理的なハードルが低くなります。「前回もこのブランドで問題がなかったから」という理由で、あらためて他社製品を比較検討することなく同じ選択が繰り返されるケースは珍しくないでしょう。前例があること自体は悪いことではありませんが、市場の状況や各社の製品ラインナップは年単位で変化していくため、数年前の前例をそのまま踏襲することが、現時点でも最適な選択とは限らない点には注意が必要です。

比較検討に割ける時間が少ない担当者ほど「聞いたことがある名前」に頼る

BCP対策の電源選定は、多くの企業で総務や経営企画といった部署が本業のかたわらで担当しており、複数ブランドのスペックを横並びで調べる時間を十分に確保できないことも多いようです。時間的な制約がある中では、広告やSNSでよく見かける知名度の高いブランドを選ぶことが、結果的に「無難な判断」として選ばれやすくなります。これは合理的な判断のひとつではありますが、知名度の高さと自社の用途への適合度は、必ずしも一致するとは限らない点は意識しておきたいところです。

単一ブランド依存が抱える調達リスク

法人が非常用電源を1ブランドに集中させて導入すると、そのブランドの供給状況やモデルの取り扱い方針の変化が、そのまま自社のBCP体制に影響することになります。特定モデルが生産終了となったり、サポート窓口の対応方針が変わったりした場合、代替機の調達や修理対応を1社にしか頼れない状態は、事業継続のための備えとしてはやや心もとない面があります。複数の拠点に電源を配備している企業であればなおのこと、調達先が1社に偏っていることが、有事の際の選択肢の少なさにつながる可能性はあらかじめ想定しておいたほうがよいでしょう。

ボルトワークスの動画が投げかけた「一択の時代は終わるのか」という問い

今回題材にした動画では、これまで市場で高いシェアを持っていたとされるブランドについて、他の複数メーカーが品質や機能面で急速に追い上げてきている状況が紹介されていました。特定のブランドが「無難な選択肢」であり続けた時期を経て、現在はメーカーごとに強みの異なる選択肢が増えてきているという市場の変化が語られている点は、法人の調達担当者にとっても参考になる視点だと感じられます。

複数ブランドを比較し、一社集中を避けるための視点

「では実際にどう比較すればよいのか」という段階に進むと、担当者が迷いやすいのは比較する項目そのものが定まっていないことだと考えられます。ここでは、電気の専門知識がなくても確認できる、実務的な比較の視点を整理します。

容量・出力の数字だけでなく「保証・サポート体制」を横並びで見る

容量(Wh)や出力(W)といったスペックの数字は比較がしやすい反面、そこだけに注目すると、購入後のサポート体制という重要な要素が見落とされがちです。動画でも、保証期間の長さや故障時の対応スピード、代替機の有無といったサポート面での違いが各社で異なる点が触れられていました。BCP用途であれば、平常時に多少高性能でも、いざというときにサポートが受けにくいブランドよりも、安定して相談できる窓口を持つブランドのほうが、事業継続の観点では優先度が高くなる場合もあるでしょう。

バッテリーの安全基準は各社共通のものさしにする

メーカーごとにデザインや機能は大きく異なりますが、バッテリーセルの種類については、比較的共通のものさしとして使いやすい項目です。近年は発火リスクなどを抑えやすいとされるリン酸鉄リチウムイオン電池を採用するメーカーが増えており、製品仕様のなかに「LiFePO4」や「リン酸鉄」といった表記があるかどうかは、複数ブランドを横並びで見るときの分かりやすい判断材料になります。安全に関わる基準は、ブランドの知名度以上に優先して確認しておきたいポイントといえるでしょう。

国内の相談窓口・拠点の有無が有事対応のスピードを左右する

海外発のブランドが数多く参入している市場だからこそ、国内に相談窓口や拠点を持っているかどうかは、法人にとって見逃せない比較項目です。停電や災害が発生した際、問い合わせから返答までに時間がかかるようでは、非常用電源としての役割を十分に果たせない可能性があります。動画で紹介されていたメーカーのなかにも、国内でのサポート体制強化を進めている様子がうかがえるものがあり、こうした動きは法人の調達担当者にとって歓迎できる変化だと考えられます。

動画で紹介された複数メーカーの位置づけ

動画では、これまで市場を牽引してきたとされるAnkerに加えて、Jackery・EcoFlow・BLUETTIといった複数のメーカーが、それぞれ異なる強みを持って選択肢に加わってきている状況が紹介されていました。あるメーカーは高出力モデルのラインナップに強みがあるとされ、別のメーカーは静音性や充電速度に力を入れているなど、各社の方向性には違いがあるようです。細かなスペックの優劣は製品ごとに変わるため、最終的な機種選定は各メーカーの公式サイトで最新の仕様を確認したうえで判断していただくのが確実ですが、まず「複数の有力な選択肢が存在する」という前提に立つこと自体が、比較検討の第一歩になるはずです。

比較の視点を押さえたところで、実際に社内でどう進めればよいのかという実務的な話に移ります。

主力ブランドと予備ブランドを分けて選定する「二段構え」の考え方

すべての拠点で同じブランドに統一する必要はなく、主力として導入するブランドと、万一の際に頼れる予備の選択肢を分けて検討しておくという考え方もあります。普段の運用は使い慣れた主力ブランドで進めつつ、供給状況やサポート対応に不安が生じた場合に切り替えられる予備の候補をあらかじめ把握しておくことで、調達が1社に依存する状態を避けやすくなります。

拠点ごとに違うブランドを試すのではなく、まず1拠点で比較検討する

複数ブランドを比較するといっても、いきなり全拠点でブランドをばらばらに導入してしまうと、今度は運用管理や保守対応が煩雑になってしまいます。まずは1つの拠点、あるいは少数の機材で複数ブランドを試験的に導入し、実際の使い勝手やサポート対応の質を比較したうえで、他拠点への展開方針を決めるという段階的な進め方のほうが、現実的な負担で比較検討を進めやすいはずです。

定期的な見直しのタイミングを社内ルールに組み込む

一度選定した電源をそのまま使い続けるのではなく、数年に一度は市場の状況をあらためて確認するタイミングを、社内のBCP点検ルールに組み込んでおくことも有効です。ポータブル電源市場は技術の進歩や新規参入が比較的活発な分野とされており、数年前の「一択」が今も最適とは限りません。定期的な見直しの機会を設けておくことが、結果的に一社集中のリスクを継続的に避けることにつながります。

まとめ|複数ブランドを知っておくことが、法人BCPの選択肢を広げる

非常用電源の選定において、知名度の高いブランドを起点に検討すること自体は自然な流れですが、そこで比較検討を止めてしまうと、調達を1社に依存するリスクを抱えたままBCP体制を構築することになりかねません。経済的な観点では、複数の選択肢を把握しておくことで価格や条件面での比較がしやすくなり、安全面では各社共通の基準(バッテリーの種類など)で横並びに確認する習慣が判断の精度を高めてくれます。そして実務面では、主力と予備を分けて選定しておくことが、供給状況の変化やサポート対応の差異といった不確実な要素への備えになります。今回紹介した動画のように、市場全体を俯瞰して比較する視点は、専門知識がなくても取り入れられる考え方です。BCP用の電源選びを担当している方は、まず「今検討しているブランド以外にどんな選択肢があるか」を調べるところから始めてみてはいかがでしょうか。

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