社用車にポータブル電源を積み、走行充電器で常時充電できる体制を整える。BCP対策としてこの組み合わせを検討する企業は増えてきているようですが、実際に導入しようとすると「充電器そのものより、取り付けの方が壁になる」という声が少なくありません。今回参考にした動画では、走行充電器の取り付けを専門に行うサービスの現場が紹介されており、車を複数台・複数拠点で保有する企業ほど、この「施工体制」の揃え方がBCPの実効性を左右するという視点が見えてきました。
社用車の走行充電器、なぜ「取り付け」でつまずくのか
専用の走行充電器は、まだ新しい機器区分
ポータブル電源専用の走行充電器は、動画によれば大手メーカー各社が本格的に販売を始めたのはここ1〜2年のことだといいます。シガーソケット経由の充電が最大120W程度にとどまるのに対し、専用の走行充電器では最大300〜1000W級での充電が可能なモデルもあるとされ、エンジン始動時やアイドリング時の電圧変動にも強い設計になっているとのことです。ソーラーパネルのように天候に左右されないため、長距離移動が多い車両ほど恩恵は大きいと考えられます。ただし、こうした製品が新しい機器区分であるがゆえに、取り付けを引き受けられる先が限られているという課題が、動画では繰り返し指摘されていました。
メーカーは「取り付けはユーザー任せ」が基本
動画では、走行充電器を販売するメーカー各社が、取り付け作業自体はユーザー側に委ねているケースが多いと説明されています。バッテリーから直接配線を引く必要があるため、DIYで取り付ける場合は配線知識や電工に近いスキルが求められるとのことです。電気に詳しくない担当者や、日常業務で手が回らない担当者にとっては、この時点で導入自体を諦めてしまう場合もあるといいます。企業の車両管理担当者が電気工事の専門知識を持っているとは限らない以上、これは個人ユーザー以上に法人にとって現実的な壁になり得るところでしょう。
「車屋さんに頼めば安心」とは限らない
取り付けを外部に依頼しようとしても、動画では「一般的な自動車整備工場に相談しても断られるケースがほとんど」だと紹介されていました。理由として挙げられていたのは、整備士が車や電気について詳しくても、ポータブル電源専用の走行充電器そのものには詳しくないという点です。発売されて間もない機器であるため、どのような制御が入っているか、車両のメインバッテリーにどのような影響が出るかが分からず、判断がつかない施工はしないという判断になりやすいとのことでした。企業が慣れ親しんだ整備工場を頼ろうとしても、専用機器という理由だけで対応してもらえない可能性がある点は、事前に想定しておいた方がよさそうです。長年付き合いのある整備工場だからこそ、無理な施工を引き受けずに断るという判断自体は、車両を預かる側として誠実な対応だとも考えられます。だからこそ企業側は、断られることを前提に、専用機器に対応できる依頼先をあらかじめ探しておく必要があるといえるでしょう。
DIY施工には車両側のリスクも伴う
配線知識があったとしても、走行充電器の設定次第では車のメインバッテリーやオルタネーターに負担がかかる可能性があると動画では説明されていました。近年のモデルにはメインバッテリーの電圧を監視して充電を制御する機能や、バッテリー上がりに備えたリバースチャージ機能を備えたものもあるとされていますが、こうした保護機能を正しく機能させるには、機種ごとの設定を適切に行う必要があります。社用車は業務で日常的に使う資産でもあるため、DIY施工によって思わぬ不調やバッテリートラブルを招くことは、企業としてはできる限り避けたいリスクといえるでしょう。

拠点が複数ある企業ほど、施工体制の「揃え方」が問われる
拠点ごとにDIYで対応すると品質にばらつきが出やすい
営業拠点や店舗が複数ある企業の場合、各拠点の担当者が個別に走行充電器の取り付けを試みると、配線の取り回しや防水処理、固定方法などの仕上がりに差が出やすくなると考えられます。ある拠点では丁寧にコーキング処理までされていても、別の拠点では簡易的な処理にとどまっている、といった状態は、車両の安全管理という観点では望ましくありません。BCP対策として複数拠点に電源を配備する場合、機種を揃えるだけでなく、施工の質をどう均一に保つかという視点も欠かせない要素になってきます。
出張・派遣型の施工サービスという選択肢
動画で紹介されていたサービスでは、購入した企業の車両に対して整備士を派遣し、取り付けを代行する体制が取られていました。元自動車メーカー出身のスタッフや整備士が在籍し、車両とポータブル電源・走行充電器の双方について知識を持った上で施工にあたっているとのことです。今回の動画では、フェンダー部分に適した穴がなかったためエンジンルーム側から配線を通すなど、車種ごとの構造に応じて配線ルートを判断しながら作業を進める様子も紹介されていました。拠点をまたいで同じ水準の施工を受けられるという点は、複数拠点を持つ企業にとって導入のハードルを下げる材料になり得るでしょう。
対応エリアは導入前に必ず確認する
出張施工サービスといっても、対応できるエリアには限りがあります。動画で紹介されていたサービスでは関東・関西・北陸エリアが対象とされ、神奈川・大阪・富山の拠点を中心に展開しているとのことでした。企業の拠点がこのエリア外にある場合、同様の施工体制を利用できるかどうかは事業者ごとに確認が必要になります。複数拠点への配備を検討する際は、機種選定と並行して「その拠点で施工サービスが利用できるか」を早い段階でリストアップしておくと、後になって特定の拠点だけ導入が止まるという事態を避けやすくなります。
施工後のサポート窓口も拠点間で統一しておく
取り付けが完了した後も、故障や不具合が起きた際にどこへ相談すればよいかが拠点ごとにバラバラだと、対応に時間がかかりやすくなります。動画で紹介されていたサービスでは、電話・チャットでのサポート窓口を設け、故障時には代替品の無料レンタル対応も行っているとのことでした。複数拠点で同じ製品・同じ施工事業者を利用しておけば、トラブル発生時の連絡先や対応フローを社内で統一しやすくなり、担当者が変わっても引き継ぎがしやすいというメリットも期待できます。


BCP視点で見る、走行充電器導入の配備設計チェックリスト
車両ごとの用途を洗い出してから機種を選ぶ
走行充電器は車種によって対応状況が異なる場合があると動画でも説明されていました。ハイブリッド車やアイドリングストップ車では想定通りに動作しないことがあるとされ、一部の新しい車種では電圧制御システムの影響で出力が制限される可能性もあるとのことです。BCP用に複数台へ配備する場合は、まず対象となる車種と用途(長距離移動が多いか、車中泊や休憩スペースとしても使うか等)を洗い出し、そのうえで対応可否を機種ごとに確認する順番が安全といえるでしょう。
補助金・助成金の活用可否は事前に確認する
動画で紹介されていたサービスでは、補助金・助成金を活用した購入のサポートも行っているとのことでした。防災・BCP関連の設備投資に対する補助制度は自治体や年度によって内容が変わるとされているため、詳細については各制度の公式情報や、利用予定の事業者に直接確認することをおすすめします。複数拠点への一括導入を検討している場合、補助制度の対象になるかどうかで予算計画が大きく変わる可能性もあるため、早い段階で相談しておくとよいかもしれません。
故障時の代替機対応は拠点間で差が出ないようにする
業務で使う車両の電源設備が使えなくなった場合、代替機の有無は業務継続に直結します。動画で紹介されていたサービスでは、故障時に代替品を無料でレンタルできる特典が用意されているとのことでした。複数拠点で導入する際は、こうした保証・サポート内容が拠点によって適用条件が異なっていないかを、契約前にまとめて確認しておくと安心です。
実機体験で導入前の疑問を解消する
動画によれば、神奈川・大阪・富山の拠点では事前予約制で実機体験ができるとのことです。場所によって取り扱い機種が異なる場合があるとされているため、体験を希望する場合は事前の連絡が必須とされていました。複数拠点への配備を決める前に、担当者が実際に製品と施工の様子を確認できる機会を活用することで、導入後の「思っていたものと違った」という認識のズレを減らせる可能性があります。

まとめ|施工体制まで含めて配備設計を考える
走行充電器付きポータブル電源は、社用車を「動く電源」に変える有効な選択肢になり得ますが、導入の成否は製品選びだけでなく「誰が、どの拠点で、どう取り付けるか」という施工体制の設計にもかかっています。DIYでの取り付けには配線知識やスキルが求められるうえ、車屋さんに依頼しても専用機器であることを理由に断られるケースがあるといい、拠点が増えるほどこの課題は大きくなりやすいと考えられます。今回紹介したような出張・派遣型の施工サービスを活用し、対応エリア・サポート体制・補助金活用の可否をあらかじめ拠点ごとに洗い出しておくことが、複数拠点を持つ企業がBCP用の電源体制を無理なく揃えていくための現実的な進め方といえそうです。

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